
【北京22日発=大沢裕治、宮本泰春】 一丸ムードに見えた星野ジャパンが、内情はガタガタだったことが明らかになった。大一番の韓国戦敗戦後、ナインは口々に「明日頑張ります。絶対に銅メダルは取って帰ります」とコメントしたが、これはあく まで表向きのもの。宿舎に戻ってからは、誰かの呼び掛けということもなく、仲のいい選手同士が集まり、いくつかのグループが独自に"反省会"を行ったという。
気持ちの切り替えを目的に集まったグループもあったが、ある選手によれば、前向きな話は最初だけ。「なぜ韓国に2度も負けたのか」という話をしている内に「あのプレーが悪かった。いや、あそこで打てなかったのが痛い」という議論にまで発展したのだとか。「一つ一つのプレーからミーティングの内容、選手の起用法まで 色々な意見が出ました。でも勝てなかった一番の原因は、やはりチームになっていなかったということ。選手がバラバラのまま、個人の能力だけで金メダルを取れるほど、世界は甘くなかったということ」(前出の選手)。
「スモールベースボール」を標榜していながら、走れない選手や守備が下手な選手を積極的に起用するなど、首脳陣の目指す野球に戸惑う関係者は何人もいた。 「正直、チーム打撃などは徹底できなかった。好き勝手に振り回していた選手を誰も注意できなかった」(チーム関係者)。
実はそれ以上に問題だったのは、気の合う仲間だけでつるみ、一丸ムードをブチ壊した若手軍団の存在だという。ある関係者は声を潜めて明かす。「宮本(慎也内野手・37=ヤクルト)キャプテンがある時、西岡(剛内野手・24=ロッテ)を注意したらしいんですが、そのことに若手が反発したというんです。ある若手が『うざい』 と言っているとの噂がチーム内に広がって、キャプテンの耳にも入るんじゃないかと、みんなヒヤヒヤしていました」。
確かに食事会場に行くのも、若手は若手だけで徒党を組み、ベテランと接触する機会はほとんど見られなかった。別に全員が仲良しになる必要はないものの、選手同士のコミュニケーションが不足していた点は否めない。
8月23日発行 東京スポーツ一面より
|